極めて文学的でしたよ、はい。
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タイトル:NHKにようこそ!2
原作:滝本竜彦
漫画:大岩ケンヂ
出版社:角川書店(カドカワコミックス)
初出:2004/11/26
オススメ度:9段
あらすじ:
佐藤達広の精神は、高校時代に憧れていた先輩の接近によって千々に乱れた。ひと夏の逢瀬、触れあう指先、昂ぶるエロス、そしてタナトス……。すごいスケールでお贈りする大河青春ひきこもり群像第2弾! 本棚に並べるとカラフルで綺麗ですよ!
~本書より引用~
……らしいです。
感想:
読み手によって感想がこんなにも変わる本って言うのも珍しいんだろうな、と。
今回は、自殺サイトへ同行ということで、結構ヘビーな内容になっています。いつものことですか。
引きこもりをコメディ調に描いて、自分よりも下にいる人間を笑い飛ばす……この作品をそんな風に受け取っている人が多いようです。
ぼくは自分を見ているような気がしてとても痛々しい気持ちになりましたw
いや、それでも笑ってしまうのですが。
ちょっとネタバレします。
この回で、主人公の佐藤君は自殺しようとしています。
理由は他人から見てしまえば滑稽なくらい些細なものなのですし衝動的なものですが、それ故に始末が悪い。
しかし結局は生きて帰ってきてしまう。
その様子を友人の口を借りて、
『僕等は自殺なんてドラマティックな事に関われる資格がありません。どんなに落ち込んでいてもこの馬鹿馬鹿しい日常に帰ってくるだけです』
なんて言っているのですが……その場所がビッグサイトだったりするのはセンス良すぎです。
結局、傷つくのが恐くて何もできない無力な僕ら、って言うことなんでしょうけど、そのシーンが妙な感じで文学的に描かれていました。
まさにノーフューチャー青春群像って感じですけど、この作品はどうやって終わるのだろうなあ……。
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